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競馬に負けたので今日の更新はありません。


と言いたかったのだが、せっかく競馬に負けたので、少しだけ競馬の話をすることにした。

競馬のことは、宗教であり、音楽であり、芸術であり、ドラマであり、人生だと思っている。オタクっぽく言うと「無理……最高」である。

こんな風になったのは十五の時だ。高校合格を祝ってか何か知らないが、父親が休日に珍しく私を誘い、連れて行かれた先が競馬場だった。重賞レースもない普通の日だったのは、今思うと幸運だったのだろう。人の殆どいない観客席の最前列で、食いつくようにターフを見た。

あの日のことを、生涯忘れはしないだろう。駆ける馬のしなやかな肉、脈打つ血管、泡立った汗、流星のような尾、地を揺らす足音。

私は競馬に狂ってしまった。

それから必死になって動画を見た。幸か不幸か、インターネットで情報収集するのは、同年代と比べても比較的得意だった。ものの見事に私は競馬にハマった。父親が引いていた。ふざけるな。

一週間後。2012年皐月賞。私はある馬の虜になり、さらに人生を狂わされることになる。

この先の話は、ここでは控えるが、それ以来もう十年近くも競馬に狂い続けている。世情も自身も様々変わったが、競馬に抱く思いだけは変わらなかった。美しく、命懸けで、血と土に塗れた唯一無二の瞬間。競馬は救いだ。

そんなわけで今日も競馬を見る。来週も見る。来年も見るだろう。たぶん、死ぬまで。だって救済だから。