2/12

人間、人生を振り返れば、狂い始めたターニングポイントというのが、間違いなく2・3はあるはずだ。自分にもある。決して劇的な瞬間ではなく、地味に、かつ避けようが無い何か。擬音で表すなら「ぼとり」という感じ。鮮やかな記憶ではないが、忘れられないも…

2/11

異世界転生チート主人公、なんて少し前は半分ネタのように言われていたが、今や歴史ある一大ジャンルだ。私も全く、馬鹿にする気は毛頭ない。そもそも、物語を通して主人公が成長する方がファンタジーだ。人はそう簡単に変わらない。元から持っている知識や…

2/9

床に伏せている間、随分長く眠ったので、たくさん夢を見ることができた。他にできることもなかったので、良い暇つぶしになった。悪魔も良い夢も半々ほど見たが、案の定内容はほとんど覚えていない。体調不良の時に見る悪夢は独特だ。恐怖で飛び起きたことも…

2/8

「ねえ、パネラーマンって知ってる?」「なにそれ、芸人の名前?」「違う違う。最近話題になってる怖い話!」「怖い話? なんか、全然怖くなさそう」「うちの学校の近所の団地、一区画だけ空き地になってるでしょ? あそこにね、出たんだって」「出たって………

2/1

ここ数年、あまり夢を見ることがなかった。学生時代はそこそこ寝ていたのでいくらか見ていたが、短い時間で深く眠るようになって、すっかりご無沙汰という感じだった。ある時、ふと気付いた。意図的に眠りを浅くすれば、夢が見られるのではないか。入眠から3…

1/30

全く記憶はないが、腕に大きな青痣ができていた。右手の、肘と手首のちょうど間あたり、内側。大きいと言っても直径は四センチほどで、ぱっと見は目立たない。薄い靄のようなそれに、風呂に入るときに気付いて、しかしあまり気にすることは無かった。翌日か…

1/28

今日は何か小説を書こうと思っていたのだが、完全に何を書くつもりだったのか忘れたので、最近思いついた書きたい台詞を羅列しておくことにする。「この世界を、楽園にしよう。見たいものだけ、聞きたい音だけ、生きていて欲しい人だけの楽園に」「看板が違…

1/27

メタ系のネタが好きだ。作品の中のキャラクターが、直接こちらに語りかけてくるようなものが、特に好きだ。第四の壁を壊して好き勝手するキャラやストーリーが、大好きだ。メタ嫌いの友人がいる。曰く、「ムカつく」のだそうだ。そいつは自分の世界の神が自…

1/26

目覚めると異形の怪物に変わっていた、というのは便利で素敵な導入だ。良いものは長く使われる。異世界転生だって、これのマイナーチェンジの一つだと思う。しかしよくよく考えると、虫や化け物になっていなくとも、寝る前のモノと起きた時のモノが同じなん…

1/25

「それで、最近記事の方はどうなの?」「いや〜まあ、悪くはないねんけど……イマイチ、パッとせんのよなあ」「それでまたフェイクニュース作ろうとしてんのか」「人聞き悪いなぁ。退屈してる世の人々に、ちょっと刺激的なお話を届けたいだけやのに」「よく言…

1/24

簡単なことほどわからない。普通でありたいと思い続けているせいか、すぐにアイデンティティを見失う。人生は、好きに生きるには短すぎるし、適当に生きるには長すぎる。爆速で駆け抜けるしかないと思って、寝る間も惜しんで行動したい気持ちもある。それで…

1/23

家の庭にある金のなる木に、短冊がぶら下がっていた。見覚えのない短冊だ。もちろん、僕が書いたものではない。金のなる木は、木といっても背が低く、うちでは鉢植えで育てている。こんな低木に、蒲鉾板ほどの短冊を下げるのは、誰がどう見てもアンバランス…

1/22

簡単に人って死ぬんだろうなあと、日々思いながら生きている。具体的にどう簡単なのかはわからない。だけどきっと、たぶん、とても簡単に、人は死ぬんだろう。天気予報みたいに、《明日の死ぬ確率は20%》とか、毎晩ラジオで聞けたらおもしろいだろうなと考え…

1/21

ここにきて漸く気付いたのだが、日記を書くのが酷く苦手だ。出来事を書き留めて忘れないようにする、ということが嫌いだ。全部忘れて真っ新な状態で生きてみたい。そもそも今日のことを思い出したくない。終わったことを考えて、記憶を整理することに、喜び…

1/20

帰り道めっちゃ雪が降っていて書こうと思ってたことを全部忘れた。とりあえず、「他人のツイートの引用リツイートでバズるのだけは絶対嫌だ」と思っていた気がする。寒すぎて何も考えられないので風呂に入って日本酒を飲むことにします。好きな日本酒は岡山…

1/19

一番寺先輩が結婚するらしい。一番寺先輩というのは、私の中学時代の先輩だ。一応新聞部の直属の先輩だったけれど、特別仲良くしてもらったわけではない。地味な生徒ばかりの新聞部において、一番寺先輩は有名人だった。絶妙に下手な関西弁、軽快なトーク、…

1/18

収集癖があるので、部屋に物がどんどん増える。しかも飾っておきたい派なので、地震が起きたらまず間違いなくこの部屋は終わる。さすがに全てを飾るのは無理なので、ある程度棚にしまっているが、本音を言うと全部飾りたい。アクセサリー、本、グッズ、香水…

1/17

気がつくと世界に一人になっていた。悪くない気分だった。元々一人で過ごすのは嫌いじゃない。完全なる孤独の世界は、寂しさよりもむしろおもしろささえ感じさせた。街並みは全て油絵に変わっていた。絵の具の凹凸を指で撫でると、猫の舌が思い出された。猫…

1/16

競馬に負けたので今日の更新はありません。と言いたかったのだが、せっかく競馬に負けたので、少しだけ競馬の話をすることにした。競馬のことは、宗教であり、音楽であり、芸術であり、ドラマであり、人生だと思っている。オタクっぽく言うと「無理……最高」…

1/15

社会性がないので、トークスキルを努力して磨いている。とはいえ才能がないので、こういう話にはこう返す、みたいなパターン化が年々深まっている。こうしてワンパターンな会話しか出来なくなるのだった。長年付き合っている友達との会話なんてもう、毎回同…

1/14

他人に泣かれるのがめちゃくちゃ苦手だ。泣いている人に対して、どう対応するのが正解かわからない。何の根拠もなく大丈夫だよ〜なんて言ってみたりする。何も大丈夫ではない。こっちが一番大丈夫ではない。居た堪れないので、落ち着くまで一人にしてあげる…

1/13

生活に飽きたので、水蒸気屋さんを始めた。近所の喫茶店が先日潰れたので、そこを借りた。そう広くない店内に、机や棚をいくつか。加湿器、ケトル、電気ポット、ガスコンロとやかん、アルコールランプとフラスコ、果ては炊飯器まで、水蒸気の出るものを集め…

1/12

手紙を書いた。特定の誰かに向けて文字を連ねたのは、久しぶりな気がした。苦ではないが好きではない。字が汚いからだ。やはり手紙は貰うに限る。書き文字に性格が表れると信じたことはないが、文章には為人が出ると信じて生きてきた。言葉は全てに先行する…

1/11

現役女子高生の親戚が、一人でマックに行けないって言ってて、めちゃくちゃ怖かった。iPhone買うところじゃないよね?って一応確認したけど、マクドナルドで間違いないらしい。マックに一人で行けないとなると、街中に一人で食事とれるところないのではない…

1/10

人を探すという行為は、意外と日常的ではない。僕は幼い頃、よく両親とはぐれたものだ。母親の手を勝手に離し、ふらつき、ショッピングモールで名前をアナウンスされたことなど数えきれない。はぐれるのにも慣れたもので、親が見当たらなくなると、自分の方…

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キャラクターを深掘りする時、どこまで決めていいかわからない。正しくはどこまでも深められるのでやめどきがわからない。やったことはないが、恐らく許されるなら無限にキャラクターの深掘りをすると思う。話を作る前にキャラクターを作ることは、実は少な…