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簡単なことほどわからない。普通でありたいと思い続けているせいか、すぐにアイデンティティを見失う。
人生は、好きに生きるには短すぎるし、適当に生きるには長すぎる。爆速で駆け抜けるしかないと思って、寝る間も惜しんで行動したい気持ちもある。それでいて何もせずに、テラスで紅茶なんか飲みながら、ぼんやり過ごし続けたい気もする。嫌いな人の死体なんかがそばにあったら最高だ。けれど死体を眺めて過ごすほど暇じゃない。そうして一瞬で矛盾して、また何もわからなくなる。
自分の普通に誇りと自信を持っている。普通とは、異常と異常の境界線、面積を持たない真っ直ぐな道だ。ずっと必死に、その線の上を歩いている。足を踏み外した瞬間に死にたいと思っている。普通でない自分に耐えられない。可能なら、死に方も普通がいい。苦しんで死ぬのが普通なら、喜んで苦しむだろう。
普通てありたいけれど、つまらない人間にはなりたくない。普通の人というのはおもしろくない人とは違うはずなのだ。とはいえ世間にはおもしろい異常者が多すぎる。普通のおもしろい人になりたい。退屈なんて耐えられない。
また今日も、アイデンティティを見失ったまま一日が終わった。見つけた瞬間殺しているのだから、当たり前かもしれない。明日もきっと、血を吐く思いをしながら、普通を生きるだろう。